ご挨拶
住職 釋 龍生
新年あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願い申し上げます
お正月の料理といえば、おせち料理である。色とりどりの食材が、とても煌びやかで目の保養にもなり、何重もの御重に入っている感じが、新たに新年を迎えた緊張感や高揚感をもたらしてくれる。毎年のことであるが、何から箸をつけようかと迷ってしまうほどの、1 年で最初のご馳走である。しかしおせちのようなご馳走に匹敵する食べ物が、この世には存在する、と個人的に は思っている。
「おせちもいいけどカレーもね」 というフレーズを流すレトルトカレーの CM が、子供の頃、 正月の時分によく流れていた。今 でもこのフレーズを、正月を迎える度に思い出すことがある。
カレーという食べ物は、それぞれ家庭の味があって、味に関しては、まずはずれることが無い。福神漬か、らっきょうを皿に添え て食卓にのぼるカレーは、いつもの味で安心して頬張れる。 初老に差し掛かる年齢ではあるが、変わらず大好物な食べ物である。
山陽新聞に、「孤高のグルメ」 の作者、漫画家の久住昌之氏についての記事を見つけた。久住氏は 「アンソロジー カレーライ ス!!」 という本の中で、
カレーライスは危険な食べ物だ。
あの匂いには、食い意地を凶暴化させる何かがある。空腹時に吸引すると食欲が瞬間沸騰する。
家でカレーライスをやると、絶対に 2 皿以上食べる。腹が完全にいっぱいになるまで食べないと、納得しない。(中略) ガツガツ 食う。
と語られる。わたしも同感である。カレーという食べ物は、私たちに家庭の歴史ともいうべき、懐かしさや安心感をもたらして くれる。
浄土真宗のご本尊、アミダさまは、私たちが人生をを歩んでいく上で、安心して生きてゆける、死んでゆける、そんな故郷と も言うべき還る場所を、ご用意くださっている。それは私たちを救い、仏とならしめるための渾身の願い (ご本願) を叶えて、建 立されたお浄土である。そしてアミダさまは、私たちを救うと誓って完成された、真実のおはたらき (お念仏・南無阿弥陀仏) を 常に届けてくださっている。そのアミダさまのおはたらきによって、還っていく場所が確実に用意されて、救われていくことが 確実に約束されている。まさに蓮如聖人の 「御文章」 聖人一流章にある、
仏のかたより往生は治定せしめたまふ
ということである。
私たちは皆、娑婆という苦海を一生懸命泳いで、泳いで、泳ぎきろうと、辿り着けるかどうか、あるかどうかも分からない岸をめがけて、迷いながら生きている。しかしアミダさまは、そんな私たちを優しく抱きしめながら、「必ず救う、我にまかせよ、だから安心して、思い切って人生を全うしてゆけ」 と、この身に寄り添って道筋をお示しくださる。私たちはアミダさまが、そん な迷いに満ちた逡巡を吹き飛ばすかのように、いつも背中を押してくださっていることを忘れてはならない。
今年は 「御生の一大 事」 という言葉を噛みしめながら、アミダさまから常にいただく救いのおはたらきに感謝して、安心して二心なく素直にお念仏を いただく。そんな 1 年にしたい。
坊守 佐々木 ひろみ
あけましておめでとうございます
昨年は大変お世話になりました
本年もよろしくお願いいたします
昨年は、元旦会、永代経法要、報恩講法要などの大きな法要が無事勤修されました。また、それら法要前の奉仕作業では、たくさんの方にお世話になりました。
振り返ってみますと、ご縁だなあと思うことが数々ありました。
昨年の報恩講法要のご講師は、佐賀県の先生、また、一昨年のご講師は、大分県の先生でした。個人的なことなのですが、私の父方の祖父母は佐賀県、母方の祖父母は大分県におりました。滋賀県に住んでいた私にとっては遠方で、年に一回ぐらいしか行けませんでしたが、とても懐かしく、いい思い出がたくさんある地です。法要が終わって、ご挨拶に行った際、そのような話をすると、どちらのご講師も、「ああ、そうでしたか。それは、ご縁ですね。」とおっしゃって、「近くには・・・がありますね。私もよく知っていますよ。」などと、温かく受け入れてくださり、楽しく会話ができました。とてもうれしい気持ちになりました。
日頃から、お寺や仕事関係で、人と出会うことは多いほうだと思います。その方々と少し話してみると、共通の人や場所でつながることが多々あります。よく「世間は狭いね。」と言いますが、これも「ご縁」だと思います。
このように、人との「ご縁」に出会うと、心がパッと明るくなり、「明日も頑張ろう」という元気すら湧いてきます。
私たちは、「南無阿弥陀仏」のおはたらきというご縁により、阿弥陀さまに見守っていただいています。前述のように、急に心が明るくなるようなものではありませんが、阿弥陀さまの救いがいつもはたらいてくださっていると思うと、心の底が温かく、いつでも安心して過ごすことができます。
今年も、「ご縁」に感謝して、過ごしていきたいと思います。
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